今回は、SIerに就職を考えている就活生に向けて特に伝えたいこととして、SIerの一気通貫したソリューション提供の魅力と落とし穴について伝えたいと思います。
私自身がSIerに就職活動をしていた際に、耳に胼胝ができるほど聞いた「弊社は一気通貫したソリューション提供ができるので、お客様に最適なシステムの提供ができる」という言葉。この言葉に惹かれて、一気通貫したシステム開発ができるSIerに焦点を絞って就職活動をしました。
そして、実際に入社しました。
しかし、実際に仕事してみると、思い描いていた部分とのギャップも少なからずありました。したがって、今回は、実際に現場で働くシステムエンジニアという一個人の立場から「一気通貫のソリューション提供」について考えたいと思います。
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一気通貫したソリューション提供とは
SIerの仕事の進め方は大きく、「企画」「要件定義」「設計・開発」「テスト」「保守・運用」の5つに大別することができます。一気通貫とは、この5つのフェーズをすべて自社で実施するということです。また、アプリケーションだけではなく、インフラやミドルウェアの領域も含めてすべて自社が責任をもって顧客に提供することを言います。
大手SIerの多くは、このように一気通貫のソリューション提供を売りにしています。一方で、中堅中小のSIerは多いてSIerに技術提供という形で要員を送り込み、ある特定の工程のみを担当したり、大手SIerから切り出された一部の工程のみを実施することが多いです。前者をSESといったり、後者を受託開発といったりします。
顧客からしても一社が責任を持って最初から最後まで、またアプリケーションからインフラまで担当するということは、一社に任せておいた方が話が早いですから、安心できるというメリットがあります。
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魅力
ここからは、一気通貫のソリューション提供を行うSIerで働くシステムエンジニアの一個人の立場からのその魅力を考えたいと思います。
魅力はなんといっても、プロジェクトの全体感がわかる、やってる感を得られる、自分が考えた企画、要件定義内容が最後どのようにユーザーに使われていくかまで見届けることができるという点が挙げられます。
例えば、コンサルティング会社のように企画や要件定義しかしない場合、最終的に構想したシステムがユーザーにどのように使われていくかまで見届けることがありません。また、SESで大手SIerに技術提供している中堅中小のSIerやSES企業も、システム開発の途中の開発工程のみに携わることが多いため、どうしてこのようなシステム開発をしているのかをよくわからないまま開発をしたり、開発したシステムが最後どのように使われていくかを知らないままとなることが多いです。
しかし、大手SIerであれば、一気通貫という名の通り、「企画」「要件定義」「設計・開発」「テスト」「保守・運用」までをすべて見届けるチャンスがあります。これは非常に魅力的だと思います。
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落とし穴
一見いいことばかりの一気通貫のソリューション提供ですが、一個人のシステムエンジニアから見ると期待しすぎな部分もあります。
それは、会社としては一気通貫しているけど、個人としては一気通貫ですべての工程に携わるわけではないことも多い、またすべての工程に携わったとしてもある機能の一部部分のみしか携わらないことも多いということです。特に大手SIerで、大規模プロジェクトになればなるほど、全体のうちの一部分のみを任されるということが増えるため、全体感はよくわからない、歯車のようになるということも多いです。
したがって、要件定義工程から参画していても、隣のチームは何をしているかよくわからないということはよくあります。ましてや、アプリケーション領域とインフラ領域とでは、専門性がまるで違うため、会社としては一気通貫でソリューション提供しているものの、個人レベルで見たら何をしているかさっぱりということがほとんどです。
就活生が夢を大きく抱きすぎて、システム開発のすべてに携われるんだと思うと、それは過信しすぎの可能性もあるということは覚えておいた方がよいと思います。
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SIerの仕事は幅が広い
SIerの仕事は多岐に渡します。その中でシステム開発にどのように携わりたいかをよく考えることをお勧めします。ある工程、ある領域に専門的に深く携わりたいのか、全体に横断的に関わりたいのか、全体に関わりつつもその中の一部部分のみを担当する関わり方が良いのか。
正解はありません。個々人がどういうスタンスで仕事したいか次第です。
就活や転職の際には、しっかりとそのあたいも含めてキャリア選択をしてみると良いと思います。
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