システム開発における工程比率及び工期比率について、IPA独立行政法人情報処理推進機構が公開しているソフトウェア開発データ白書の内容をもとに、システム開発における比率(割合)の目安についてまとめ、考察したいと思います。
新規開発の場合も、改良開発の場合も大きな傾向という点では変わりませんでした。したがって、エンハンス開発や保守開発における工数見積をしたいという方も参考にしていただければと思います。また、個人的には、パッケージシステムの導入における開発工数は、通常のエンハンス開発や保守開発と同様に捉えてよいと考えていますので、そういう意味ではあらゆるシステム開発・導入に活かすことができる値かと思います。
工数比率
開発工程別工数比率と割合


割合にすると次のようになります。
工程 | 工数割合(400FP未満) |
基本設計 | 17%(18%) |
詳細設計 | 18%(18%) |
製作(製造・UT) | 32%(33%) |
結合テスト(IT) | 20%(17%) |
総合テスト(ST) | 13%(14%) |
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要件定義工程工数比率と割合

割合にすると、次のようになります。
工程 | 工数割合 |
要件定義 | 10% |
開発全般 | 90% |
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工期比率
開発工程別工期比率と割合

工程 | 工期割合 |
基本設計 | 20% |
詳細設計 | 18% |
製作(製造・UT) | 25% |
結合テスト(IT) | 19% |
総合テスト(ST) | 18% |
Copyright 2018-2019 IPA ソフトウェア開発データ白書2018-2019 P179のデータをもとに割合にて加工表示
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要件定義工程工期比率と割合

工程 | 工期割合 |
要件定義 | 17% |
開発全般 | 83% |
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覚えておくべき工程別比率・割合の目安

IPAが公開しているデータを紹介してきました。ただし、この工程の割合は、工程の切り方、すなわち工程定義の仕方はプロジェクトによって様々です。したがって、IPAが提供する数値に関してもそのまま使うのではなく、自分のプロジェクトに当てはめて考え直す(テーラリング)ことが重要です。
ただ、一貫して言えることは私の場合は要件定義をはじめとする上流工程に有識者がの十分な工数と十分な工期を確保することで、早い段階で品質を確保したいという思いが強いです。
そのため、着実に進めるための推奨する目安としてはIPAの基準よりも多めにとると良いと思いました。そこで、工数は要件定義を全体の約20%、設計~テストまでを約80%で、工期については、要件定義を全体の約25%、設計~テストまでを約75%と見るときっとよいでしょう。
工程 | 工数割合(推奨割合) | 工期割合(推奨割合) |
要件定義 | 20% | 25% |
開発全般(設計から納品まで) | 80% | 75% |

そして、要件定義工程は、工数比率よりも工期比率の方が大きくなることが、少数人数で長めに実施することが重要であるとも言えます。言い方を換えれば、要件定義工程は要員を追加したからといっても終わるものではないということです。これは肌感覚でも納得感があることかと思います。
この比率・割合を1つの目安として覚えておいていただき、日ごろの見積業務に活かしていたければと思います。
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出典元:IPAソフトウェア開発データ白書
本記事に登場するグラフやデータはすべてIPA ソフトウェア開発データ白書2018-2019を引用元としております。出典元は以下からご確認ください。
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グラフデータの注意点
前述の通り、工程定義が違えば、工程の割合も変わってきます。
本記事のデータの出典元である「IPA ソフトウェア開発データ白書2018-2019」における工程定義は次のようになっており、各工程別工期比率及び、工数比率における総合テストとは総合テスト(ベンダ確認)となります。


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