システム開発をはじめとするプロジェクトマネジメントをリードするプロジェクトマネージャー(PM)は、プロジェクトの進行を統括する重要な役割を担います。PMとして成功するためには、多岐にわたるスキルが求められます。本記事では、PMに必要不可欠な6つのスキルについて解説し、それぞれの重要性と具体例をお伝えします。
必要な6つのスキル
プロジェクトマネージャーとして成功するためには、以下の6つのスキルをバランスよく身につけることが重要です。もちろん他にも重要なスキルはたくさんありますが、特に重要な6つに厳選しました。
1つずつ重要性や具体例について解説していきます。
- 工程定義能力
- 問題検知・解決能力
- 人間力
- リスク管理能力
- 業務知識
- 決断力
工程定義能力
1つ目は工程定義力です。そして、もっとも重要です。
もちろん、マネジメントスキルやコミュニケーションスキルなども必要ですが、ある意味当たり前ともいえるスキルはおいておいて、プロジェクトマネージャー(PM)だからこそ、工程定義力は欠かせないスキルだといえます。
プロジェクトの成功は、しっかりとした計画に基づいています。工程定義能力とは、プロジェクトの各ステップを明確にし、進行を管理する力です。
プロジェクトとはそもそも有期的で、独自性があるものとPMBOKでは定義されています。そのため、二度同じプロジェクトは存在しません。そのため、その都度、プロジェクトごとにそのプロジェクトにあった進め方を定義する必要があり、それが工程定義能力です。
ポイント
- 目的達成のための工程を具体化するスキル。
- 豊富な過去の経験や標準的プロセスへの熟知と、そこからのテーラリング能力。
- タスク分割、スケジュール作成、リソース配分を適切に行う。
- プロジェクト管理ツール(例:WBS、ガントチャート)を活用。
重要性
工程定義が曖昧なままだと、プロジェクトは混乱に陥りがちです。
検討すべき事項が漏れていたり、本来プロジェクトの早い段階で検討が必要な事項の決定が遅れたりと、後手を踏むプロジェクト運営となります。
正確な工程定義がプロジェクトのスムーズな進行を支えます。
問題検知・解決能力
2つ目は問題検知・解決能力です。
プロジェクトには、予期せぬ問題がつきものです。問題がないプロジェクトは存在しません。また、問題が発生してから問題を認識し、解決するような受動的なプロジェクトマネージャー(PM)ではいけません。自ら問題を先んじて検知し、早急に対処する力も必要です。
そのため、問題をいち早く検知し、迅速に解決する能力が求められます。
ポイント
- 課題の本質を見抜く洞察力。
- ロジカルシンキングを用いた分析力。
- チームメンバー、プロジェクトメンバーと協力しながら、効果的な解決策を導く。
- 問題提起力、解決策に対する説明能力。
重要性
問題が放置されると、問題が問題を引き起こし、更なる問題となってプロジェクトの遂行をより困難にします。鉄は熱いうちに打てという言葉もあるように、早いうちに対応した方が対処もより簡単になります。
したがって、早期対応がプロジェクトの成功確率を高めます。
人間力
3つ目は人間力、人間性です。
プロジェクトはとにかく「人」が中心です。そのため、プロジェクトマネージャー(PM)には、チームやステークホルダーと良好な関係を築くための人間力が必要です。
ポイント
- コミュニケーション能力、文書作成能力、明確で簡潔な情報伝達。
- リーダーシップ・統率力、チームをまとめ、モチベーションを高める。
- 共感力、相手の立場を理解し、信頼を築く。
重要性
信頼関係の欠如はプロジェクト全体の士気を下げる原因になるだけではなく、コミュニケーションロスによって様々な問題を引き起こします。問題の諸悪の根源は、信頼関係の欠如と言っても過言ではありません。
また、このPMの下であれば頑張りたい、このPMが言うならやろうと思われるような素養も必要です。
優れた人間力がプロジェクトを成功に導きます。
リスク管理能力
4つ目はリスク管理能力です。
プロジェクトでは、リスクを完全に排除することはできませんが、影響を最小限に抑えることは可能です。プロジェクトは独自性のあるものと説明した通り、どんなプロジェクトであってもはじめて経験することばかりです。そのため、大小さまざま不確実性が内在しており、この不確実性つまりは、リスクをコントロールすることができるかどうかが極めて重要です。
そのために、リスク管理能力は欠かせないスキルとなります。
リスク管理についてはこちらで更に詳細を説明しています。
ポイント
- リスクの特定と評価。
- 優先順位と対策実行契機をまとめた対策立案。
- 定期的なリスクレビューとリスクの見直し。
重要性
リスク管理が不十分だと、プロジェクトが予期せぬ問題で頓挫する可能性があります。リスク管理がうまいプロジェクトマネージャー(PM)は先手先手で数々の問題を対処することができるため、安定したプロジェクト運営ができます。
安定したプロジェクト運営は、品質、進捗、コストのプロジェクト目標達成に直結するため、リスク管理ができるかどうかが、プロジェクトの成功の鍵を握っています。
業務知識
5つ目は業務知識、別名ではドメイン知識とも言います。
プロジェクトマネージャー(PM)は、プロジェクトの対象分野についての十分な知識を持つ必要があります。業務知識が欠けていると、適切な判断ができなくなる可能性があります。
時々、開発するシステムの要件や仕様については全く知らないプロジェクトマネージャーもいて、要員管理や進捗管理だけしかしない人もいます。平時はそれでもよいかもしれませんが、1つ問題が起きた時に立ち行かなくなります。プロジェクトマネージャー(PM)は誰よりも要件や仕様を理解し、システムのことは勿論、業務のことも理解しておくことで、前述のリスク管理の感度も良くなり、安定したプロジェクト運営をすることができるようになります。
ポイント
- 業界のトレンドやルール、法令を把握。
- 業界特有の言葉、業務内容、業務プロセスの理解。
- 技術的な知見と業務知見を併せた意思決定。
重要性
業務知識が豊富であれば、クライアントは勿論のこと、プロジェクトメンバーとの連携もスムーズになり、より信頼されるPMになることができます。
前述の通り、人間的にも信頼されるプロジェクトマネージャー(PM)になるには、プロジェクトマネージャー(PM)自身がまず誰よりも長けた知見を持っておくことが望まれます。
意思決定・決断力
最後は、意思決定力、決断力です。
プロジェクトの進行中には、難しい選択を迫られる場面が少なくありません。むしろ、決断することが仕事であり、日々決断の連続です。
プロジェクトマネージャー(PM)が行った決断1つで、プロジェクトはうまくもいきますし、混乱も招きます。そして、プロジェクトマネージャー(PM)の決断で、プロジェクトに関わる人、お金、時間が動くため、それだけ重要な判断も迫られます。
そのため、決断力はPMにとって欠かせない能力です。決断するためには、情報を的確に収集しておくことは勿論ですが、時には勇気ある決断、覚悟が持てるかも重要です。
ポイント
- 迅速かつ的確な判断を下す力。
- 十分な情報を収集し、リスクと利益を天秤にかける。
- 決断後は責任を持って行動する。
重要性
決断力のあるPMは、チームに安心感を与え、プロジェクトを適切な方向に導きます。決断ができないと、後続の様々なタスクへも影響し、後手を踏んだプロジェクト運営となります。
まとめ
プロジェクトマネージャーとして成功するためには、以下の6つのスキルをバランスよく身につけることが重要です。
- 工程定義能力
- 問題検知・解決能力
- 人間力
- リスク管理能力
- 業務知識
- 決断力
これらのスキルを日々の業務で意識的に磨き、実践することで、より効果的にプロジェクトを推進できるようになります。あなたもこれらのスキルを活かして、プロジェクトの成功を実現しましょう!
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