工数見積もりにおけるバッファの割合と目安とは

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プロジェクトマネジメント

システム開発において設計工数や開発工数の見積もりをする際、どう見積もりしてますでしょうか?

特に、バッファ工数をどれくらいの割合で見込むべきか、目安について迷うことが多いと思います。

50%上乗せが妥当なのか、20%上乗せが妥当なのか。また、果たしてその根拠は?

プロジェクトや案件によって様々ですが、今回バッファ工数を見積もる際の目安となる考え方、また具体的な割合について解説します。

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プロセスデザインアプローチ 芝本秀徳著を参考に

今回、バッファ工数の目安を考えるにあたっては、こちらの「プロセスデザインアプローチ 誰も教えてくれない「プロジェクトマネジメント」」芝本秀徳著が非常に参考になりましたので、こちらの内容を引用しながら、私の方でより一般的な考え方に昇華して考えたいと思います。

当初工数見積もりとは

工数見積もりの方法は様々あり、よく使われる方法としては次のようなものがあります。

  • 類推法
  • ボトムアップ法
  • FP法

では、ここで見積もられた工数はそもそもどのような意味を持つのでしょうか。

プロセスデザインアプローチ 誰も教えてくれない「プロジェクトマネジメント」では、このように見積もりをした工数について、次のように説明しています。

仮にAという作業について「10時間でできる」と見積もったとしましょう。実際にその作業が10時間ピッタリで終わることはまずありえません。9時間30分かもしれないし、11時間かかるかもしれません。つまり、10時間という見積もりは「10時間『前後』」という幅を持っていることを意味します。ここでいう幅とは、すなわち「確率」です。

プロセスデザインアプローチ 誰も教えてくれない「プロジェクトマネジメント」」芝本秀徳著

工数を見積もる際、あるタスクについて「これくらいで終わるだろう」と考えるラインは「何も想定外のことがおきなければこの時間で大丈夫」というラインです。確率でいえば50%です。

プロセスデザインアプローチ 誰も教えてくれない「プロジェクトマネジメント」」芝本秀徳著

つまり、”普通”に見積もった場合、その工数で完了できるかどうかは五分五分、確率50%ということで、当初見積もりの工数とは50%確率で完了できる工数となります。

プロセスデザインアプローチ 誰も教えてくれない「プロジェクトマネジメント」」芝本秀徳著の内容をもとに筆者にて図式化

 

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バッファ工数の割合と目安

確率50%で完了できるということは、逆に残りの確率50%でタスクは完了できないとなります。

そのため、残りの50%の確率をできるだけ下げるための工数がバッファ工数となります。

プロセスデザインアプローチ 誰も教えてくれない「プロジェクトマネジメント」」芝本秀徳著 P173 図5-8 90%の成功確率になるようバッファを確保するケースを基に作成

この図は、プロジェクトが完了する確率を分布したグラフになります。”普通”に見積もった場合は、50%の確率でしか成功はしませんが、コスト・工数が増えれば増えるほどこのグラフの面積(分布)は増え、成功確率が上がっていることを意味しています。

ということは、バッファ工数の目安は確率を100%に近づけるための工数ということになるため、”普通”に見積もった工数の確率が50%であれば、その工数に1.5倍した工数が確率100%で完了できる工数となります。

つまり、バッファ工数込みの目安は、当初見積もり工数に対して1.5倍、割合にして50%増しが適切だと言えます。

具体的には、”普通”に見積もった工数が10時間であれば、10時間+10時間×(100%-50%)=15時間となります。

 

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バッファ工数見積もり算出公式

バッファ工数込みの工数目安は当初見積もりの1.5倍、つまり、バッファ工数の割合は当初見積もりの50%となります。

この1.5倍、50%という数字の根拠は、当初見積もりの工数でそのまま問題なく進んだ場合の完了確率が基となっています。これを”普通”と呼んできました。ということは、問題が発生した途端、完了確率が著しく下がることが考えられる場合や、見積時点で大きな懸念があり完了できる見込みが50%もない場合、逆にあまりリスクがなく既に視界良好な状態で作業が開始できる場合は、”普通”ではなくなり、この1.5倍、50%という値も変わってくるといえると、私は思います。

そこで、プロセスデザインアプローチ 誰も教えてくれない「プロジェクトマネジメント」では確率50%以外の解説はしていませんでしたが、私の方で、これらの内容を踏まえて一般的にバッファ工数込みの工数を算出する際の式は次のようになると考え、ここに示したいと思います。

バッファ込み工数 = 当初見積もり工数 × 当初見積もり工数(1 - p) 
※p = 当初見積もり工数でタスク完了できる確率

つまり、この一般式を利用すれば、問題が発生した途端、完了確率が30%に減る場合はバッファ工数は1.7倍を目安とし、逆に先行き良好な場合で完了確率が既に80%ある場合にはバッファ工数は1.2倍を目安にすることができます。

あらゆる場面において、バッファ工数を算出する際の考え方の根拠とすることができると思います。

 

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まとめ

バッファ工数の割合には色々な考え方があると思います。慣習的に50%としている場合もあれば、25%としている場合もあります。会社やプロジェクトによって様々です。もしかしたら、50%増しは多すぎという意見もあると思います。

しかし、ほとんどの場合がバッファ工数の目安となる割合についてその根拠を論理立てて説明できていないのではないかと思います。

今回は、そんなバッファ工数を算出するにあたっての1つの論立てになると思い、プロセスデザインアプローチ 誰も教えてくれない「プロジェクトマネジメント」芝本秀徳著の内容を基に、更にそこから一般公式化して考えてみました。

今回の内容が少しでも参考になれば嬉しいです。

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