今回は先日読んだ「PMBOK 童話でわかるプロジェクトマネジメント第2版 (飯田剛弘著)」の中で、特に印象に残っている内容、勉強になった内容、今後も定期的に読み返したい内容を中心にアウトプットしていきます。
この本を読むきっかけや、プロジェクトマネジメントにおける重要な考え方の参考になれば嬉しいです。
書評
はじめてプロジェクトマネージャーになった方、まだまだ駆け出しのプロジェクトマネージャーにおすすめの本です。
本書は、誰もが知っている昔話(三匹の子豚、桃太郎、シンデレラなど)を題材に、プロジェクトを成功させるための考え方が紹介されています。そのため、大変読みやすいです。
PMBOKの専門書や解説本に入る前に、プロジェクトマネジメントが何か、全体像を捉えるのに打ってつけです。
一方で、物語の中では、PMBOKのすべての知識領域については触れらえていないことや、テクニカルな面よりもヒューマンスキルに寄った説明がされているため、よりテクニカルな内容を学びたい方は、この本をきっかけにして他のPMBOK関連図書も読むことをお勧めします。
重要要約ポイント
〇各作業にかかる時間を予測する
〇チームとグループの違いを意識する
〇コミュニケーションパスを意識する
〇変更は失敗の元
〇ということは?で一歩前進
読了してみて今後特に見返したい内容、今後のマネジメント業務に一役買いそうな考え方をピックアップしました。
他にも紹介したい内容はたくさんありますので、ぜひ本書をお手に取っていただければと思います。
各作業にかかる時間を予測する
私が本書で一番、参考になった、勉強になった内容です。
プロジェクトマネジメントにおいて、作業見積とスケジュール作成は重要なタスクになります。
その作業見積とスケジュール作成において、重要だが、忘れがちな観点が、対象のタスクが「可変」か「固定」かというものです。
可変作業時間とは、投入する資源(人や道具など)の量や進め方によって、作業に必要な時間が変わるようなタスクのことを言います。
一方で、固定作業時間とは、投入する資源(人や道具など)の量や進め方を変えても、作業に必要な時間は変わらないタスクのことを言います。
システム開発において、例えば可変作業時間に当たるタスクは、単体テストなどがそれにあたると思います。テストケースが100ケースあれば、1人で100ケース消化するより、5人で20ケースずつ消化する方が早く単体テストを終えることができます。
一方で、固定作業時間は、見積作業や要件定義などがそれにあたります。一人でしかできないタスク、いくら要員を追加しても作業時間自体は縮まらないタスクです。
このように、各タスクの特性を意識してスケジュールを考えることがプロジェクトを円滑に進めるうえで非常に重要です。
時々、要員を追加投入すれば、その分早くタスクが完了できると考える人がいますが、その際はタスクの特性をきちんと考えるように、思いとどまることが重要です。
チームとグループの違いを意識する
プロジェクトはチームで実施するものです。
では、似たような言葉であるグループとはどのような違いがあるのでしょうか。
その違いを理解することで、プロジェクトをどのように進めるべきかが見えてきます。
本書の内容を引用し、ご紹介したいと思います。
つまり、プロジェクトマネージャーは1+1を2にするのではなく、1+1を3にも、4にもするために様々な取り組みをする人ということになります。
何気ない言葉の違いですが、チームとグループの違いを理解することで、プロジェクトマネージャーに求められることの本質が垣間見れるため、紹介させていただきました。
コミュニケーションパスを意識する
ここでは、まず最初に本書の内容を引用し、紹介したいと思います。
プロジェクト関係者の人数が増えれば増えるほど、一対一のコミュニケーションの数は増えていきます。そのため、多くのプロジェクトメンバーと効率的かつ確実にコミュニケーションをとれるように計画することが大切です。具体的には、「誰が、いつ、どのような情報を必要としているのか」を確認し、また「誰が、いつ、その情報をどのように伝えるのか」を決定していきます。
PMBOK 童話でわかるプロジェクトマネジメント 第2版 飯田剛弘著
所謂、コミュニケーション計画の重要性が謳われていますが、このことを特に意識すべきは、炎上中のプロジェクトです。
炎上中のプロジェクトでは、リカバリのために要員追加が行われることが多いです。
しかし、要員が増えれば増えるほど、コミュニケーションパスが増大し、情報伝達が難しくなります。そのため、どのようなコミュニケーションパスで全メンバーに情報を届けるのかを整理しなければ、情報は錯綜し、混乱を招きます。そして、リーダーやプロジェクトマネージャーがボトルネックとなり、更なる混乱や遅延を招くことに繋がります。
要員追加に関する危険性については、次の本でも紹介していますのでぜひご覧ください。
変更は失敗の元
この章では2次リスクについて触れたいと思います。
プロジェクト計画において、リスクマネジメント計画を立てることが重要です。しかし、新人のプロジェクトマネージャーがそこで止まってしまいます。
プロジェクトリスクは常に見直しを行い、そして、リスクが顕在化したらリスク対応を講じます。
重要なのはここから先です。
リスク対応を行った結果、生じる新たなリスク、つまり2次リスクについてその対応策まで検討をします。
デキるプロジェクトマネージャーは、刻一刻と変わるプロジェクト状況に応じて、次々と施策を講じていくのです。
ということは?で一歩前進
最後に紹介するのは、プロジェクトマネージャーの仕事の本質を突く考え方に通ずるものです。
プロジェクトマネージャーであれば、メンバーから進捗報告や課題の報告をはじめてとして、様々な報告を聞くことになります。
その際、単にその報告を受け止めるだけでは、プロジェクトは前進しません。
プロジェクトマネージャーは曖昧なことを具体的にし、可視化することが仕事の本質だと私は思います。
本書の中でも、次のように述べられています。
進捗状況を見える化し、チームみんなで進捗を把握する。
PMBOK 童話でわかるプロジェクトマネジメント 第2版 飯田剛弘著
メンバーからの報告に一歩踏み込み、次のアクションを考えること、次に起きることを予測することで、プロジェクトは着実に進みます。
その際、「ということは?」という言葉を合言葉に考えると良いでしょう。
最後に、本書の言葉を引用して締めくくりたいと思います。
「ということは」で問い続け、曖昧なことを具体化する
PMBOK 童話でわかるプロジェクトマネジメント 第2版 飯田剛弘著
プロジェクトマネージャーの仕事の本質、つまり、曖昧さを具体化することがこの言葉に詰まっていると思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
以上、飯田剛弘著 PMBOK 童話でわかるプロジェクトマネジメント第2版を読んでみて、私が特に思い留めておくべきだと感じた内容です。
プロジェクトマネージャーの基本的な考え方から、現場で明日から活かせる思考まで幅広く紹介させていただきました。
まだまだ紹介したい内容もありますが、童話形式になっているため非常に読みやすいため、その内容は本書を手に取っていただければと思います。
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