システム開発における工数とは、言い換えるとプロジェクトの規模、作業量となります。
一般的に「人月」「人日」という言い方をしますが、これは一人のシステムエンジニア、プログラマーが1か月あたりまたは、1日あたりに行う作業量のことです。
この作業量に対して、どれくらいのお金がかかるのかを表したものを「工数単価」と言います。具体的に「工数単価は人月で100万円」という場合には、そのエンジニアが受け取ることができる月の報酬は100万円といった具合になります。
エンジニアの平均工数単価は117.5万円

一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が公開しているデータがありましたので、そちらを紹介したいと思います。
結果は、平均の人月単価は117.5万円でした。1
自分の単価と比べてみていかがでしょうか?高いでしょうか?低いでしょうか?
従事するシステム開発の規模によって、人月単価はそれほど大きな差はでていない結果ではありましたが、10人月以下の小規模プロジェクトでは人月単価168万円と少し高めの結果が出ていることには注目してもよさそうな結果でした。
企画、要件定義、設計、実装、テスト別工数単価
システム開発は、企画工程からはじまり、要件定義、設計、実装そしてテストと続いていきます。その中で、各工程で人月単価に差があるかどうか見ていきましょう。
同じく、一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が公開しているデータを参考にするとこのような結果となっていました。

日本情報システム・ユーザー協会「ユーザー企業 ソフトウェアメトリックス調査【調査報告書】2016版」図表6-7-7 フェーズ別人月単価、区分コード330を基にグラフにして作成
企画フェーズでは172.2万円/人月、要件定義フェーズは127.2万円/人月、設計フェーズは118.9万円/人月、実装フェーズは98.9万円/人月、テストフェーズは106.8万円/人月という結果でした。
特にスクラッチ開発における企画フェーズ、パッケージ開発における設計フェーズは特筆して高い人月単価であることがわかりました。
単価アップするための方法
システムエンジニア、プログラマーの人月単価についてみてきました。
システムエンジニアやプログラマーにとって、人月単価をあげることは収入アップに欠かせない要素です。そこで、ここからは、これらの統計データを受けてシステムエンジニアやプログラマーが人月単価を上げて、収入をアップしていくための方法について考えたいと思います。
上流工程に携わる

先ほどの日本情報システム・ユーザー協会が公開しているデータからも分かる通り、企画や要件定義といった工程の方が高単価であることがわかります。
したがって、できるだけ上流工程に参加することで、高単価案件を獲得することができます。
企画や要件定義は、システム開発の目線だけではなく、業務目線、経営目線での思考も求められ、要求内容のレベルも上がってきます。しかし、その分、高単価での仕事の依頼が多いといえるでしょう。
幅広い技術を身に着ける

スクラッチ開発やパッケージ開発といったように、開発技法にとらわれないスキルを身に着けることが重要です。
全体の傾向としては、企画や要件定義工程の単価が高いことはこれまで見てきたとおりですが、パッケージ開発の設計工程も高単価であることがわかります。
これは、特定のパッケージシステムに詳しいエンジニアやプログラマーが重宝されていることを物語っているといえます。
したがって、1つの開発技法の専門家になることも勿論すばらしいことですが、1つの枠だけに収まることなく、幅広い領域でスキルを獲得していくことが高単価案件を獲得するために重要だといえます。
出典元:一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会
一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(Japan Users Association of Information Systems : JUAS)が公開する「ユーザー企業 ソフトウェアメトリックス調査【調査報告書】2016版」を参考文献としています。
JUASとは、日本の名だたる企業が集まってITの利活用のために様々な分析等を行う組織です。
産業活動におけるITの高度利用(経営革新を含む)に関する調査及び研究、普及啓発及び指導、情報の収集及び提供等を行うことにより、IT利活用の向上を促進し、もって我が国産業経済の発展に寄与することを目的とする。
JUASについて 協会概要 目的 https://juas.or.jp/profile/outline/
会員数は4,684社2(2025年1月1日現在)と、信頼できる情報源かと思います。
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なお、報告書の内容は執筆時の背景に基づいており、過去の事情が現在も同じとは限らない点がありますのでご注意ください。
注釈
- 日本情報システム・ユーザー協会「ユーザー企業 ソフトウェアメトリックス調査【調査報告書】2016版」図表6-7-5 工数区分別工数単価、区分コード330http://www.juas.or.jp/cms/media/2017/02/16swm.pdf ↩︎
- 日本情報システム・ユーザー協会 JUASについて 協会概要 法人会員数https://juas.or.jp/profile/outline/ ↩︎
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