【PMBOK】意味ないのか? コストマネジメント 実務への活用方法

PMBOK

このシリーズは、私がこれまで経験したプロジェクトで培ったマネジメントノウハウを、PMBOKの知識体系に沿って、駆け出しPMの方々や新入社員向けの読み物的な位置づけでノウハウや考え方をまとめています。ぜひご覧ください。

コストマネジメントにおける各プロセスは以下の通りです。

いくらお金をかけても良い仕事なんて存在しません。そうったお金の管理をするのがコストマネジメントです。

そして、どんなプロジェクトにも制約が存在します。その最たるものがスケジュールとコストだと私は思います。そのコストについてどのようにマネジメントしていけばよいか、今回はじっくり考えていきたいと思います。

コスト見積

スケジュールマネジメントでWBSにブレイクダウンしたものに対して1つずつ見積を行っていきます。

コスト見積の方法については、スケジュールマネジメントで触れているのでそちらを参照いただければと思います。

ちゃきの小部屋 | Chaki's small room
プロジェクトマネジメント-スケジュールマネジメ/

EVMの見方

EVMの正しい理解、解説については別のサイトなりを参考にしてもらうとして、ここではEVMの本質について考えます。

よくEVMを用いて進捗管理を行うことがありますが、本質はコスト管理です

PVはPlanned Value(計画価値)、ACはAtual Cost(実コスト)、EVはEarned Value(達成価値)とそれぞれコストや価値(=予算)が由来です。また、EV=計画コスト(PV)×進捗率で算出することからも、進捗をコスト換算したものと捉える方が正確です。

そのため、EVはスケジュールいう意味での進捗や進捗率ではなく、出来高(どれだけ稼げだか)と表現されるのです。

費用管理

プロジェクト計画を作成し、予算を決めます。

この時不確実性に備えて予備費を設定します。所謂バッファのことでですが、会社やプロジェクトによってはリスク費と呼ぶこともあるようです。

このリスク費について、厳密には2つの意味合いがあることを覚えておきましょう。

コンティンジェンシ費(リスク対策費)

リスク管理台帳にて管理しているリスクが顕在化した時に対応するための予備のお金であり、PMの裁量で使えるお金です。

マネジメント費(リスク予備費)

不測の事態(リスク特定していない事態)に対する予備のお金であり、使用にあたってはPMOやプロジェクトオーナーの承認が必要になるお金です。

とは言いつつも、現実的にはマネジメント予備費を確保しておくことも、いざというときに使用することもハードルとしてはめちゃめちゃ高いです。

そのため、マネジメント予備は取らずに、コンティンジェンシ予備費だけでやりくりしているプロジェクトが多いというのが私の感覚です。

そしてそれでもダメになってから上長に対して目標利益率を下げることを許可していただき、新たに利益設定をするという流れが多い印象です。

コスト管理の本当の意味

プロジェクトが走り始めてからのコスト管理について、私は語弊を恐れずに言えば、主体的に取り組むものではなく、後から付いてくるものとして捉えても差し支えないと考えています。

なぜなら、プロジェクトが進んでいる中である日突然、コスト超過が発生するということはまずないからです。

コスト超過を招くような数ある”兆候”がそれまでに出てきており、その”兆候”が爆発し、結果的にコスト超過に繋がっていると考える方が自然です。

コストに問題がなくても進捗や品質に問題があれば、それは一時的なものにすぎず、必然的にそのリカバリを図るためにコストにも問題は波及します。

そういう意味で、QCDのすべてが大切ではありますが、あえて優先度を付けるのであれば、コスト管理は最後に回しても良いと思います。結局は、最後に付いて回るものと思っておいて差支えはないと思います。

まとめ

今回は、コストマネジメントについて触れていきました。

コストマネジメントは新人PMのうちはあまり縛られすぎない方が良いというのが私の考えです。

しかし、仕事は利益を出すために行っているという意味では、必ずコストのことは気にしなければいけないというのもまた真です。

コストマネジメントがどういったものか、何をしなければいけないのか少しでも理解いただければ幸いです。

参考文献

・情報処理教科書 プロジェクトマネージャ (三好康之著)

私は2019年度版を参考にしています。

・プロジェクトマネジメント実践講座 伊藤大輔(著)

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